マンションに住んでいると「共用部の電球が切れた」「自動ドアが故障した」といった共用部にまつわる小さな修繕が発生します。これをを経常修繕・日常修繕などと呼んだりします。
大規模修繕工事のような、高額な費用を大事な修繕積立金から捻出するような際には、みなさん慎重になりますが、比べて比較的費用の少ないこれらの修繕費用はチェックがおろそかになりがちです。
見積もりの差額は大差なくとも、塵も積もれば山となる・・・ではないですが、長期的に見れば実は大きな出費になっていることが少なくありません。
高すぎる補修費用そのままに発注してしまった、実は適切な補修方法ではなかったため、またすぐ修繕が必要になった、という失敗例もあります。
今回は、この経常修繕・日常修繕の見積もり・発注の注意点についてさくら事務所のマンション管理士が解説します。
管理会社経由の相見積もりで大丈夫?
一般的に、修繕が必要になったマンション管理組合では、管理会社に見積もりを依頼し、発注となるケースが圧倒的に多いようです。
管理会社経由で相見積もりをお願いする管理組合もありますが、あまり意味がありません。
間に入る管理会社も経費を載せる必要がありますが、相見積もりを比較する上でいくら経費を載せられているかもわかりませんので、正確な比較検証は難しいでしょう。
結果的に相場より割高な金額で発注することになってしまう可能性も否定できません。
そもそもの補修工事の内容が適切かどうかも、工事関係者でないとわからないケースもあります。
失敗しない見積もり・発注のポイント
日頃から、かかりつけのお医者さんのようなお付き合いのある業者さんを持っておくことをおすすめします。
近所の電気屋さんや建設会社さんがあれば、見積をお願いしてみてもいいかもしれません。
管理会社と、直にやりとりできるこのかかりつけ業者さんとそれぞれお見積りを依頼して比較検討してみるといいでしょう。
ただ、このときにマンション居住者などの「身内の業者」に依頼するのは好ましくありません。トラブルのもとになります。
仮にもしうまくいかなかった際に、日頃のお付き合いに支障がでる可能性もあります。
とはいえ、急な修繕の発生に、そのような業者さんがみつからないというケースもあるでしょう。そのような場合は第三者にセカンドオピニオンを依頼するのもおすすめです。
金額の妥当性はもとより、補修の内容が適切かどうか、ある程度、建築関係にあかるい会社に依頼することをお勧めします。
管理費会計では足りない!修繕費を取り崩してOK?
また、問題になるのが管理費を超える支出が発生しそうなときです。
250万円の修理の見積もりが来たけど、修繕費の予算が150万円しかない!といった場合です。
臨時総会を招集して決議を採るのが最も望ましい方法ですが、給水設備や排水設備など日常生活への影響が大きく修繕に緊急を要する場合には、組合の中で緊急に修繕工事の発注が必要になった経緯などについて周知を行うような特別な方法を取りましょう。
修繕積立金で賄ってしまおう、とお思いかもしれませんが、修繕積立金の取り崩しは、総会の決議が必要になります。
いかがでしたでしょうか?
あらかじめ時期の決まった大規模修繕工事と異なり、経常修繕や日常修繕は突発的に発生してしまいます。
早々に修繕をしないと、居住者の生活に不便が出たり、放置しておくと危険が及ぶケースもあります。
そのような際に備え、日頃から経常修繕・日常修繕の発注手順をある程度ルール化しておく(修繕工事発注細則など)ことをおすすめします。