大規模修繕工事費用の高騰に頭を悩ませているマンション管理組合の方もいらっしゃるでしょう。
大規模修繕工事費用の内訳の中で、思いのほか大きな割合を占めるのが「仮設工事」と呼ばれるものです。
その名の通り、作業を行うために仮で設置する足場費用などを指します。
他の工事項目とは異なり、工事が終わってしまえば何も残らない部分ですので、できるだけ安く抑えたいところですが、通常のマンションでも15~20%くらいの割合になり、大規模マンション、特にタワーマンションでは工事費全体の30%を超えることも。
(逆に、小規模マンションで工事箇所や面積の少ない場合でも足場は必要になりますので、工事費用に占めるこの割合は高くなります)
「そもそもタワーマンションって修繕できるんですか?あんなたかいところまで足場とか建てられるんですか?」といった疑問の声もあります。
今回は、タワーマンションの大規模修繕工事の際の仮設工事について解説します。
一般的なマンションで使われる足場、タワーでは?
一般的なマンションの大規模修繕工事では、外壁全体をシートで覆い、建物の周りに金属製の足場を組んで行います。
これは「鋼製足場」といい、枠組み足場、型枠足場とも言われます。
組立や解体が容易で、作業のしやすいしっかりした足場をつくることができるというメリットはありますが、重量もあり、風の影響もうけるので、使用できる高さに限界もあります。
一般的な鋼製足場であれば、30M(10階建て)、補強を入れたり強いものを使えっても45M(15階建て)が限界でしょう。
安全性を考えると60Mを超えるようなタワーマンションの修繕を鋼製足場だけで行うのは現実的ではありません。
では、タワーマンションではどのように大規模修繕工事を行なうのでしょうか?
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タワーマンションで用いられる足場
タワーマンションの大規模修繕工事の仮設工事で最も代表的なものが「ゴンドラ」です。
上部のクレーンから金属製のワイヤーで釣った機械式足場で、窓の清掃用のものなど、見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?
タワーマンションによっては、このゴンドラが窓の清掃や日常的な小修繕のために常設されているマンションも多くあります。
とはいえ、上から釣った状態なので、強風の影響で大きく揺れてしまい、天候によっては作業ができないことも。
もう一方の「リフトクライマー」は移動式昇降足場、とも呼ばれます。
ゴンドラと比べ、支柱が立っていてそこに固定されたまま上下しますので、ゴンドラほど風の影響もうけずに揺れません。
複雑な形状のマンションでは使えませんが、やはり、ゴンドラ同様、マンションの外周を囲む足場と違い、日当たりや工事の人の視線も気にせずに普段通り暮らせるメリットがあり、最近では中高層など普通のマンションからでも引き合いが多くあります。
以前、さくら事務所でコンサルティングを行った大規模修繕工事では、長期的に生活に不便を感じることのないよう、建物のバルコニー側だけこの方法を採用したことがあります。
一般の足場よりは割高になりますが、それでも長期にわたる工事の間、普段通りの生活ができてよかった、という声を多く頂きました。
タワーマンションならではの不公平も?
タワーマンションによっては、中高層階はゴンドラで、低層階は鋼製足場で、というハイブリット型で行うところもあります。
ここで問題になるのは、タワーマンションでよく言われる、高層階と低層階の不公平。
高層階はゴンドラのため、目の前で作業がなければ、工事していることも気が付かないくらいいつも通りの生活をすることができます。
ところが、下層階は大規模修繕工事の間、長きに渡り、鋼製足場で囲まれ全面をシートで蓋われてしまいます。
いつ自分の住戸の前で作業するかもわかりませんので、カーテンを開けることもできない生活が続くこともあります。
生活環境にこれだけ大きな違いがありながら、修繕積立金は所有する部屋の面積によるものですので、同じ専有面積の住戸であれば高層階も低層階もまったく同じになってしまいます。
低層階の方からは、反対や不満の声が多くあがる理由にもうなずけるものがあります。
せっかく大規模修繕工事がうまくいっても、こういったところから不満が出てしまうのは残念なこと。
多くの方に丁寧に説明し、納得して頂ける大規模修繕工事の進め方を目指しましょう。
第三者の専門家にアドバイスを求める場合は、般的な大規模修繕工事への取り組み方だけでなく、新たな方法による取り組み方についても積極的に取り入れるスタンスを持つ専門家の意見も聞いてみるといいでしょう。
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