マンションのアフターサービスの点検、誰がやる?それぞれのメリット&デメリット

  • Update: 2019-03-02
マンションのアフターサービスの点検、誰がやる?それぞれのメリット&デメリット

分譲マンションの引渡し後、一定期間に発覚した建物や設備の不具合を売主の不動産会社に無償で補修してもらう「アフターサービス」

早期に不具合を発見、補修することで、長い目で見て修繕費用を抑えることにも繋がります。

逆にその補修範囲は、アフターサービスのタイミングなら無償で補修してもらえるけれど、これを逃したら後から管理組合の費用負担で補修することになります。

補修すべき箇所はこの機会にきちんと洗い出して、補修してもらいたいものですが、問題は「この不具合の洗い出し、つまり建物の点検を誰が行なうのか?」ということです。

自分たちでどこまでできるのか?分譲会社・施工会社、管理会社にお任せしていいのか?

わざわざ専門の調査会社に費用をかけてまで頼む必要はあるのか?今回はそれぞれのケースについて解説します。

自分たちで点検することで、連帯感アップ!

自分たちで点検してみる場合、どうすればいいのでしょう?

まずは、前十個に共用部分で不具合など気がついたとことはないか?アンケートを行ない、結果を取りまとめます。

次に、その結果をもとにマンションで有志を募り、全館点検を行います。

そこで気がついたことをピックアップし、あとでまとめます。

みんなで共用部のチェックなどを行うことにより、管理に対する意識の高まりが期待できるのがメリットです。

自分たちのマンションを自分たちで点検することで、自然と連帯感を生むことができます。

まれに、深刻な瑕疵が見つかって非常に短い期間に連帯感が生まれることもありますが、できればそんなことは起きてほしくないもの。

自然なかたちでマンション内に連帯感を持たせるいいきっかけになるでしょう。

ですが、居住者自身でやる場合、ネックになるのが専門知識がないこと。

建物に関してはほとんどの方が素人でしょう。

点検結果を持ち込んだ結果、分譲会社・施工会社の補修の対応が妥当かどうかの判断ができるのか・・・

「それはアフターサービスの範囲外です」と言われてしまうと、よくわからないまま丸め込まれてしまう、ということも。

また、その後にマンションで不具合が発覚したとき、「1・2年目に理事会が点検したんじゃないの?」「その時になんで専門家に頼まなかったの?」といった心無い意見が管理組合内でささやかれることもあります。

建物に関して専門知識があるわけでもなくあくまでボランティアで行っていること、と理解してもらった上で、「点検内容について責任は持ちかねます」とアンケートや報告のときに、一言添えておくといいでしょう。

分譲会社・施工会社、また管理会社に点検してもらうケース

分譲会社・施工会社、また管理会社に点検してもらうケースもあります。

自分たちで点検するのと同様に多くの場合費用が掛からず(※有償のケースもあります)、マンションの専門家ですから建物の知識が豊富です。

ですが、自分たちで分譲・施工したマンションを自分たちでチェックすることになるので、どうしてもチェックが甘くなっているのではないか?客観性に欠けるのでは?といった懸念がついてまわります。

「利益相反の関係にある会社に点検してもらった内容をそのまま鵜呑みにしていいものか?」といったご相談はさくら事務所にもよく頂きます。

また、管理会社による無償の点検では、調査会社に比べると簡略な傾向にあるようで、不具合の見落としや点検範囲などが原因で後日トラブルとなったケースもありますので、注意が必要です。

費用を払っても一定の効果が得られる調査会社とは?

さくら事務所のような、第三者の建物の調査会社に点検を依頼するパターンです。

上記の2つに比べ、費用は掛かりますが、建物の知識やアフターサービスに対応するためのを点検に十分な実績と経験を持ち、客観的な立場で調査が行えるのであれば、充分な成果が得られる方法かと思います。

ですが、ここで注意すべきポイントが4つあります。

スケジュールまでに総会の決議が得られない

まず、調査会社への依頼には管理組合総会による決議が必要になります。

ところが、アフターサービスの期限に間に合うように総会での決議が得られず、調査会社への依頼そのものができない、といったケースも。

管理組合運営まで理解したアドバイスを得られるか?

調査会社の中には、建物の知識は豊富だが、管理組合の運営に疎いところもあります。

管理組合向けのコンサルティングを総合的に取扱っている調査会社なら問題ありませんが、管理組合運営に疎い調査会社はアフターサービスの期限などのへアドバイスはあまり期待できないでしょう。

自分たちのマンションと同規模のマンションの実績は?

また、一言にマンションの建物調査と言っても規模も構造もさまざま。

自分たちのマンションと似たタイプのマンションの調査実績を持つ調査会社に依頼をしないと、期待外れになることもあります。

特に、タワーマンションの場合、これまでの実績を持たない会社では、経験に基づいたタワーマンションならではのチェックは期待できません。

ですから自分たちのマンションと同じようなタイプのマンションをどのくらい経験しているのかは、依頼する際に必ず確認しましょう。

施工会社・分譲会社と利害関係はないか?

最後に確認したいのが、「どこまで付き合ってくれるか?きちんと最後まで付き合ってくれるのか?」。

例えば、点検によって重大な瑕疵が見つかったら、分譲会社や施工会社と交渉してくれるはずの調査会社に逃げられてしまった、なんてこともあるのです。

調査会社のスタッフが調査以外の業務も行っている場合、施工会社や分譲会社と取引があるようであれば、建築士としての業務に差し支えることもあり、管理組合のために自分の仕事をリスクを省みることなく真摯に交渉してもらうのは難しいでしょう。

自分の今後の業務を犠牲にしてまで管理組合のために頑張る気概はなかなか持てるものではありません。

いずれにしても、第三者に依頼する場合、費用を払って一定の効果が得られるかどうかが大きなポイントになるでしょう。

いかがでしたでしょうか?

それぞれの注意点を念頭に不具合を洗い出し、きちんと補修してもらいましょう。

※アフターサービスの補償範囲、期限はマンションによって異なります。お手元のアフターサービス規準書をご確認ください。

2024年5月18(土) 日本経済新聞
【新築マンション保証期限は2年・10年・20年 知らねば損 くらしの数字考】
土屋輝之が取材協力しています。

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【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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