「高層難民」にも備える、タワーマンションこそやっておきたい防災対策

  • Update: 2019-03-11
「高層難民」にも備える、タワーマンションこそやっておきたい防災対策
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株式会社さくら事務所

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

8年前の今日、東日本大震災により福島県・宮城県をはじめとして甚大な被害を受けました。日本中が防災への危機意識を強めた日でもありました。

ライフスタイルの変化と共に、災害時に想定される被害やリスクも変化していきます。

中でも、首都圏を中心にその数を伸ばしている「タワーマンション」は、その歴史も浅いため、災害時には想定外の事態に陥ることも考えられます。

エレベーターが停止し高層階で孤立してしまう「高層難民」のような事態も、タワーマンションができるまでは思いもしないことでした。

とはいえ、逆にそのスケールメリットからしっかりした防災対策をとっているところも多く見受けられます。

今回は、タワーマンションにお住まいの方こそ知っておきたい防災の備えをご紹介します。

一般的な規模のマンションにも共通するお話ですので、皆さんぜひご覧ください。

タワーマンションで全世帯の安否確認、いつまでかかるの・・・

災害時、マンションではまず居住者の安否確認を行う必要があります。

お年寄りや小さなこどもなど、優先的に保護すべきひとはいないか?家具などの下敷きになって動けなくなっている人やけがをしている人はいないか?を確認するためです。

ですが、タワーマンションなどの大規模マンションの場合、全戸確認するまでに相当な時間を要してしまいます。

そこで、そんなマンションでこそ導入してほしいのが、安否確認のマグネットシートです。

災害発生時に居住者が各住戸の玄関ドアに「無事です」と言った文言を貼っておき、安否確認の声掛けが不要であることを居住者側から伝えるものです。

これにより、マグネットシートの貼っていない住戸にだけ、声掛けを行えばよくなりますので、効率的に全世帯の安否確認が可能になります。

また、安否確認のマグネットとともに備えておきたいのが、居住者名簿です。

家族構成や勤務先、緊急連絡先など(要介護・要支援の場合は併せて記載してもいいかもしれません)を記した災害時用の名簿です。

(管理会社で作成・保管されていても非常時に閲覧できない、安否確認を目的に作成されていないなどで、役に立たない可能性もありますので、ご注意ください)

安否確認はどんなマンションでも災害時に外せません。

この2つはタワーマンションなどの世帯数の大きい大規模マンションほど有効ではありますが、全てのマンションでぜひ検討してほしい防災対策です。

防災用品の準備は完璧!でもいざというとき使えますか?

度重なる災害の影響もあり、最近のタワーマンションなどの大規模マンションでは、しっかりとした防災用品を備えているところが多いようです。

東日本大震災以降は、備えるマンションが増えたのが「ポータブル発電機」です。

停電しても夜間の照明やテレビなどでの情報収集、携帯電話その他への充電などに使用できます。

しかし、災害対策の備品として購入されたものの日常的に使用するものではないため、点検作業が全く行われていないというケースも残念ながらよく見かけます。

燃料はガソリンやカセットガスのものが主流ですが、エンジンにより発電させる仕組みですので長期間使用しない時はエンジンオイルの漏れや劣化による故障をまねくため、定期的に試運転を行っておく必要があるのです。

また、トランシーバーなども、大規模マンションでは災害時に有効です。

中継局を介する携帯電話などとは異なり、機器同士で直接通話ができるため、回線混雑などの電波障害の影響を受けず、災害時でも繋がりにくくなるということがないのです。

また、タワーマンションや大規模マンションでは敷地も広く建物の規模も大きいため、被害状況や安否確認、現場での指示などを防災センターなどにリアルタイムで報告できます。

とはいえ、こちらもいざというときに使い方がわからない、なんてことも。事前に使い方の確認・共有をしておきましょう。

せっかく備えた防災用品、実際に必要なときに使えないと意味がありません。

購入して安心ではなく、いざというときにすぐに使える状態にあるか?定期的なメンテナンスや保管状態もきちんと確認しておきましょう。

「高層難民」に備え、備蓄品の保管方法を工夫しよう

災害時、タワーマンションで問題になるのが、エレベーターの停止です。

エレベーターが使えないとなるとマンション内での上下階の移動に大きく制限が出てきます。

上層階の部屋に取り残された「高層難民」も出てくるでしょう。

水や食料などのストックを高層階まで運び上げることもできません。

備蓄品や支援物資は、高層階・中層階・低層階とフロアで分けて、配置しておく(途中階にも備蓄場所を設ける)といいでしょう。

また「マンションまでは帰れたが、部屋までは上がれない・・・」という高層階の居住者のために、エントランスやロビーなど1〜2階の共用部分で一時的な避難ができるよう、毛布や水などの備蓄を確保をしておくのもおすすめです。

いかがでしたでしょうか?

タワーマンションはまだ歴史も浅く、もしもの災害時には想定外の事態も起こりうるでしょう。

タワーマンションに限らず、災害への備えに万全はありません。

想定外の事態にも居住者のみんなで協力して対応できるような、マンション内での良好な関係づくりも大事です。

防災対策を見直したい、とお考えの方はさくら事務所のマンション管理士にお気軽にお問合せください。

 

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土屋 輝之
監修者

土屋 輝之

2003年さくら事務所に参画、不動産仲介から新築マンション販売センター長を経る間に、不動産売買及び 運用コンサルティング、マンション管理組合の運営コンサルティングなどを幅広く長年にわたって経験。不動産、建築関連資格も数多く保持し、深い知識と経験を織り込んだコンサルティングで支持される不動産売買とマンション管理のスペシャリスト

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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